ユーザ事例 &
レポート

Report

Autodesk Panorama

Autodesk Panorama boot camp
Tongji University(上海)

2015 年 3 月 9 日~ 13 日に「Tongji University(上海)」にて
Autodesk Panorama が開催されました。

アジアの選抜された各国代表の学生向けのオートデスクが主催するイベント、Panoramaには、ブラジル、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、ロシア、トルコ、台湾、ウクライナの学生が集まりました。
3月9日から13日の間、中国上海のTonji大学にて、最新の製品を用いたハッカソンや作品のプレゼンテーションセッション、学生同士のネットワーキング等による充実した時間を過ごしました。
日本からは東京大学 山岡さん、笹渕さん、鈴木さんの3名が参加しました。

Panorama 会場到着 - プレゼンテーション

Autodesk Idol:各国の代表チームが自分達の作品を3分でプレゼンテーションを行い、産業界のエキスパートからコメントやフィードバックを得て、今後のスキルアップに役立てていきます。

機械・製造向け分野と建築分野のそれぞれの作品のプレゼンテーションを行いました。

日本チームは機械・製造向け分野での発表です。
この説明の発表内容の構成もプレゼンテーションももちろん、学生の方々が準備しています。
まずはメンバーの自己紹介から行います。スライドもプレゼンテーションも英語で行っていきます。

エキスパートからの質問やフィードバックが寄せられます。
日本のチームの作品は特に、未来志向での作品でエキスパートの観点からも新鮮に映ったようです。
その点を踏まえて、実現可能性についてどのように考えているかを問う質問が出ました。

質問:太陽電池は雨の日は使えないのではないですか?
山岡さん:バッテリー容量を大目に設計してあるが、そもそも大雨の日はドローンは飛べないこと、LEDへの電力供給はかなり少ない設計なので、問題ないと考えます。

質問:ドローンを飛ばすというのは現実的に色々制約があると想定されるが過去にドローンについての開発や研究の経験はありますか?
鈴木さん:過去に自身の研究室での経験に基づいたアイディアをもとにこの作品を製作しています。

質問:上海での都市では使えないのではないか?
山岡さん:本作品の使用領域は、電力のインフラがないところを想定しているので都市部での利用は想定には入っていません。被災地やまだ電力がないところでの利用を考えています。

このような質問にもメンバーそれぞれの過去の経験を活かして回答し、エキスパートからも会場からも高評価となりました。

日本チームの作品

Helioperchは、建設現場や、電力供給が十分にいきわたらない災害復旧現場等にドローンを提供するために設計されています。
ドローンのためだけではなく、ソーラーパネルヘッドは傘のように開き、蓄えた電力で地面を照らすのみならず、光源として使用することもできます。
ベース/ボディタンクはソーラーパネルを安定化させる機能も備えており、三脚は、トップパネルと風による揺れを防止しています。
ボディタンクに水を入れることで重みを与えて安定化させることもできます。
この作品の特長の一つとして、設置の簡単さがあります。三脚を広げ、パネルを展開し、パネルのネック部を伸ばして設置ができます。
また、これからの現場環境の利用を想定しているため、トラックで輸送での持ち運びができ、50機を1台のトラックの荷台に載せて移動と設置を想定しています。

利用したオートデスク製品:Inventor、3ds Max

Fusion 360 セッション

まずは、これから始まる現地でのハッカソン(デザインソン)のルール説明とFusion 360 のレクチャー(約1時間)が行われました。

その後、国ごとにチーム編成され、1テーブルに2組が割り振られました。
テーマは「新たなウェアラブルなデバイスをデザインして提案してください」
スライドのテンプレートは支給されました。明日発表の持ち時間は5分です。
朝10時半から夜9時までを準備時間として、夜9時にはプレゼンテーションファイルを提出しました。

実は、中国の大学では外部からのネットワーク環境がなく、制約のある条件下でのデザインソンとなりました。
昼食、夕食はお弁当が支給されます。
そしてエアコンがなくて、寒い。温かいコーヒーは支給されるたびに大人気で一瞬でなくなってしまっていました。

デザインソン準備中に、今回のイベントについてチーム毎にビデオインタビューの収録がありました。
インタビュー説明中です。自己紹介とFusion 360についての概要、プロジェクトの概略についての説明を行いました。

Fusion 360とは

Autodesk Fusion 360 は、次世代の デザインとエンジニアリング のツールです。
3Dデザインと 、単一設計・直観的なクラウドベースのツール・設計を統合することによる製品設計を簡単かつ迅速に作成・コラボレーション・データ管理プロセスを組み合わせたものです。
学生や教員の方は、下記のサイトより無償でご利用いただけます。(英語版のみ)
クラウドをプラットフォームとしたMac OSでも利用できる強力な3Dモデリング製品です。

Fusion 360 デザインソン 発表会

1日かけて製作した作品の発表会です。
日本チームは、全19チームのうちの12番目、午後2番目の発表時間が割り当てられました。

「新たなウェアラブルなデバイスをデザインして提案してください」をテーマに、日本チームが製作した作品は、手の動きをより精密なものにするための新しいヒューマン能力拡張(Augmentation)デバイスです。

作品名は、Dexterity。
手先が不器用な人を器用にする。筋肉に電流を流して、制御するデバイスです。
この作品には、お年寄りなどの生活の質の向上に寄与していくために手先を器用にすることで、より豊かで便利な生活を実現させるという問題定義があります。
紙で模型を作り、写真をとって、Fusion 360に張り付けて、さらに写真を撮って、それを笹渕さんがなぞり、絵を完成させています。(ネットワーク環境がないため、知恵を絞っています)

鈴木さん、利用シナリオについて説明中です。この作品によって針に糸を通しやすくなることも想定したというシナリオも説明中(狙いどおり、結構ウケました)です。
聴講者の意見をひきつけるために、笑いをとるなどのユーモアを交えたりする戦略もプレゼンテーションを魅力的にするためには重要です。

山岡さん、モデリングについて説明中です。これは3面図を作成する過程のプロセスを紹介しています。全日の午前中のFusion 360のレクチャーでカバーされていたものをさっそく採用して製作にいかしています。

エキスパートからはモックアップを製作したことについての経緯などが質問されています。

質問:モックアップを作ったことでのデザイン上の発見はありましたか?
山岡さん:手の動きを制限するのでどこまでカバーするか、センサーの取り付け場所などに参考になりました。
さらに、当然、モデリングもしやすくなりました。

質問:筋肉に電力を流すことによって制御することは本当に可能なのか?
鈴木さん:実際に電力を流した治療などもあることから、将来的には実現の可能性はあるのではないかと考えています。

そして、見事、全チーム中の5ファイナリストに入りました。
惜しくもGrand Winnerは逃したものの、Top3に食い込みました。
下記サイトでは、Top5作品の中に収録されています。
http://panorama.brel.com/index.php/en/autodesk-fusion-360-hackaton#prettyPhoto[12]/0/

おめでとうございます。
全チーム中、未来志向が最も鮮明な作品という評価をいただきました。ちなみに、モックアップからモデリングしたのも唯一日本チームの作品だけでした。

そして、デザインソンが終わった後は、ディナーと上海の夜景(外灘)、を少し観光です。

こうして、内容盛りだくさんのPanoramaイベントは無事終了しました。
山岡さん、笹渕さん、鈴木さん、日本代表としてのご健闘とご活躍、ありがとうございました!

Home > ユーザ事例 &レポート > Autodesk Panorama boot camp
Tongji University(上海)